会社と財産分与

夫が会社を経営している場合、妻は夫に対して会社の財産を分与するよう請求することができるのでしょうか?

まず、会社は独立した法人格を有しており、その財産は会社のものですから、原則として会社の財産そのものを分与してもらうことはできません。

夫が会社の株式を所有している場合にはその株式自体が財産分与の対象となり得ますので、その株式を評価して分与を受けることになります。
ただし、この場合、会社の財産形成について妻がどの程度貢献したのかが重要となるでしょう。例えば、結婚後に会社を設立し、夫婦が二人三脚で会社を盛りたててきたのであれば、株式全てが財産分与の対象となるでしょうが、夫が結婚前から会社を経営していたのであれば、妻の貢献度は少なくなるでしょう。

会社の経営者が夫の父であり、夫は株式を所有していないような場合には株式を財産分与の対象とすることはできません。義父など第三者名義の財産を清算しないことが不平等である場合には財産分与を命じる裁判例もあるようですが、例外的なものでしょう。

財産分与にあたっては、どのような財産が対象となるか十分に御検討ください。

(弁護士 井上元)