不貞慰謝料額の相場

 妻Xの夫AがY女と不貞した場合、妻Xは、夫AとY女の一方もしくは両方に対して不貞に基づく慰謝料を請求できるとするのが現在の裁判例です。

 近時、不貞慰謝料請求事件が裁判所に多数提起されており、不貞慰謝料に関する著作も幾つか公刊されているところです。当事務所にも多くの方がご相談に来られています。

 その中には、Y女から不貞慰謝料として簡単に数百万円も払ってもらえると誤解している方もおられます。「数百万円あるいは1000万円もの慰謝料がとれる」とアドバイスされたという方もおられました。

 しかし、裁判所における不貞慰謝料はそれほど高額ではありません。

 安西二郎裁判官「不貞慰謝料請求事件に関する実務上の諸問題」判例タイムズ1278号の57頁~58頁によりますと、「慰謝料が認定された27件の最低額は80万円、最高額は600万円、平均額は216万円である。X(注:請求者)が夫の事案の平均額は184万円、妻の事案の平均額は234万円である。離婚事案の平均額は208万円(うちXが夫の事案は193万円、妻の事案は223万円)、婚姻破綻事案では234万円(うちXが夫の事案は183万円、妻の事案は249万円)、婚姻継続事案では140万円である。」、「一般向けの書籍も含めて「相場」をみると、数十万円~200万円、数十万円~数百万円、100~300万円、200~300万円等とされている。」とされており、私の経験からも、その程度であると感じます。

 また、Y女に資力がなければ、全く支払ってもらえないということもあり得ます。

 不貞慰謝料を請求しようとする場合、素人意見に惑わされず、早期に専門家にご相談されることをお勧めします。

(弁護士 井上元)