大学学費と養育費

離婚の際、未成年の子がいる場合には養育費の取り決めをしますが、大学の学費も養育費として請求することができるのでしょうか?

近時では、①義務者が明示、黙示により承諾した場合、②義務者の収入・学歴・地位などからその教育費負担が不合理でない場合、には養育費の算定において大学の学費を含めることが一般的です。

仮に、親が進学に反対していても、進学が不合理な選択でなければ分担義務は生じるものと考えられます。

対象となる費用

対象となる費用としては、入学金、授業料など大学への納付金などが該当します。下宿代については、自宅から通学できる場合、特に下宿の必要がある場合以外は含まれないと解されます。

分担の対象となる額(加算額)

裁判所における標準算定方式では、15歳以上は、公立高等学校における教育費として25万9342円が考慮されていますので、分担の対象となるのは、これを超える額となります。

分担の割合

上記加算額を父と母が分担することになりますが、義務者が分担すべき額については、基礎収入の比によって算出されます。

ただし、婚姻費用において加算される場合には父と母が等分で分担すべきとされています。

合意の仕方

既に進学する大学、学費が決まっている場合は、養育費に加算して支払うとの取り決めになります。

大学進学が将来のことであれば、現時点では負担額を確定させることができませんので、「大学に進学した場合は別途協議する」旨の一般的な取り決めにしておき、進学が確定した時点で、別途、協議ないし調停・審判で取決めることとなります。

(弁護士 井上元)