面会交流につき詳細に判断した京都家裁平成26年2月4日審判

面会交流についての法令の規定

 離婚した後、子を監護しない親(非監護親)は子との面会交流を求める権利を有しています。

 民法766条で「離婚後の子の監護に関する事項の定め等」が規定されており、1項で「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と定められています。そして、2項で「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。」と定められており、父母間で協議できない場合、家庭裁判所が審判で定めることになるのです。

 面会交流は、非監護親の権利ではありますが、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定められているとおり、最も重視すべきは子の利益であることは言うまでもありません。

裁判所による判断の基準

 それでは、裁判所はどのような基準で面会交流の内容を決めるのかと言いますと、京都家庭裁判所平成26年2月4日審判は、一般論として、「面会交流の頻度や内容等は、同居期間中の相手方と未成年者との関係、これまでの相手方と未成年者との面会交流の状況、未成年者の年齢や生活状況、申立人と相手方双方の生活状況等を考慮して決定すべきである。」と判示しています。

面会交流実施要領の具体例

 そして、上記審判は、具体的に面会交流実施要領を下記のように詳細に決めています。面会交流の条件についての協議の際に参考になると思われますのでご紹介しましょう。ただし、通常の調停や審判ではここまで詳細に決められることは少ないと思いますのでこの点ご留意ください。

面会交流実施要領

1 面会日、面会時間

(1) 毎月1回、日曜日の午前9時から午後5時まで

(2) 上記(1)とは別に、毎年、①7月20日から8月31日までの間、②12月26日から1月7日までの間に、それぞれ2泊3日程度の宿泊を伴う面会交流

(3) 上記(1)の面会実施日は、前月末日までに母と父が協議して定めるが、協議が調わない場合は、第三日曜日とする。

(4) 上記(2)の面会日は、①では7月19日まで、②では12月25日までに父と母が協議して定めるが、協議が調わない場合には、①については8月1日から3日まで、②については、12月27日から29日までとし、待ち合わせ場所及び方法は、2項のとおりとする。

2 待ち合わせ場所及び方法

(1) 待ち合わせ場所

○○駅改札口を出た広場付近

(2) 待ち合わせ方法

母が、上記面会交流開始時刻に未成年者を待ち合わせ場所に連れて行き、未成年者を引き渡し、父が面会終了時刻に待ち合わせ場所まで未成年者を連れて来て引き渡す。

3 面会場所の制限

父は、上記1(1)の第1回及び第2回面会日に限り、未成年者との面会は○○市内で行うこととする。

4 父の保育園行事への参加について

(1) 母は、保育園の意向に反しない限り、父が保育園の運動会、生活発表会等の保育園行事に参加することを認め、父と母は、父が参加できる学校行事について別途協議をして決める。

(2) 母は、保育園から行事日程の連絡を受けたときは、すみやかに父に連絡する。

5 誕生日、クリスマスなどの未成年者へのプレゼントの渡し方

父と母が協議をして決めるが、協議が調うまでは、誕生日やクリスマスに近接する面会日に父が直接未成年者に手渡すこととする。

6 面会日等の変更

未成年者の病気、その他やむを得ない事情により、上記1項の日時に面会交流が実施できない場合には、当該事由の生じた当事者は、速やかに他方当事者に連絡し、双方協議の上代替日を定める。協議が調わないときは、1(1)の面会日は、第4日曜日の同じ時刻とする。

7 連絡方法等

父と母の連絡方法は、原則としてメールによる。

8 その他

(1) 当事者双方が合意したときは、上記一項ないし七項の内容を変更することができる。

(2) 当事者双方は、未成年者の福祉に配慮し、特に未成年者の体調の変化に注意する。

(弁護士 井上元)