離婚後の財産分与と年金分割

とりあえず協議離婚をして、(1)財産分与、(2)年金分割、(3)慰謝料などについての話合いは後回しにされるケースもあります。この場合、(1)財産分与と(2)年金分割は離婚後2年以内にしなければなりません。

最高裁判所平成23年7月27日決定(判例時報2130号3頁)は、元妻は離婚後、(1)財産分与、(2)年金分割、(3)慰謝料、(4)子供の所持品の引渡しを求めて家庭裁判所に調停を申し立てたところ、調停不成立となった後、これらは一般調停として扱われたため審判手続に移行しなかった件につき、「財産分与及び年金分割を求める部分は、家事審判法9条1項乙類に掲げる事項に該当し、又は同事項とみなされるのであって、同事項に該当しない他の家庭に関する事項と併せて調停の申立てがされた場合であっても、抗告人が調停不成立のときに審判への移行を求める意思を有していないなど特段の事情がない限り、その事件名にかかわらず、家事審判法26条1項に基づいて審判に移行するものと解される」と判断しています。
 調停不成立時において(1)財産分与と(2)年金分割については離婚から2年を経過しており、この時点ではこれらの申立はできなかったものと思われますが、最高裁判所は審判手続に移行し、申立期限を徒過していないと判断したものです。

上記の事件では、(1)財産分与と(2)年金分割の申立は適法になされているものとされましたが、離婚後にこれらを行う場合には、2年の期間に十分注意してください。

(弁護士 井上元)