離婚調停の「解決金」とは?

離婚調停では夫が妻に対して「解決金」という名目でお金を支払うことも多いのですが、「解決金」とは一体何なのでしょうか?

妻が離婚に際して夫に請求するお金としては、法的には財産分与、慰謝料などがあります。
財産分与とは、夫婦が婚姻期間に形成した財産を離婚に際して分けるというものです。離婚時に財産がなければもらうことはできません。
慰謝料とは、婚姻関係破綻の原因である者が相手方に支払うもの。浮気したり、暴力をふるった夫が妻に支払うものが典型的です。

ところが、離婚調停では、財産分与や慰謝料という名目を使わないで、「解決金」という名目でお金を支払うことがあります。
調停条項としては、「相手方(夫)は申立人(妻)に対し、解決金として金●●円を支払う。」となります。
この場合の解決金の中身は、財産分与や慰謝料であることもありますし、あるいは、離婚後の女性の生活費、離婚の判子代ということもあります。
財産分与として●●円、慰謝料として●●円、生活費として●●円、判子代として●●円などと特定せず、いろんな趣旨を含んで、「解決金」として支払うことになります。

男性としては、「自分は悪くないのだから、慰謝料は支払わない」と主張していても、「別れた後の女性は仕事を探さなければならず、生活を立て直すまで大変なのだから、お金を支払ってあげたらどうですか?」と言われると、それなら支払うという場合も多いのです。

夫は「自分は慰謝料として支払ったのではない」と思い、妻は「夫は自分が悪いことを認めたのだからお金を支払ったのだ」と思うのですが、名目は「解決金」であり内容は分かりません。

曖昧模糊とした玉虫色の解決なのですが、実務上は非常に使い勝手がよい、便利な解決策です。

もっとも税務署には評判はよくないようですが・・・

(弁護士 井上元)