親権者が決められる基準は?

離婚に際して未成年の子供がいる場合、必ず父親と母親のどちらが親権者になるか決めなければなりません。

協議離婚や調停離婚の場合、話し合いでどちらが親権者になるかを決めます。話し合いで決まらない場合には離婚自体ができませんから、離婚訴訟を提起して、その判決の中で裁判官が親権者を決めることになります。

それでは、裁判官はどのような事情を基準にして親権者を決めるのでしょうか?

総論的に言えば、子の利益および福祉を基準として決定され、諸事情を比較考慮して総合的に判断されることとされています。

具体的には次のような事情が考慮されます。
【父母側の事情】

  1. 監護能力(年齢、性格〔異常性のチェック〕、教養、健康状態)
  2. 精神的・経済的家庭環境(資産、収入、職業、住居、生活態度)
  3. 居住環境
  4. 教育環境
  5. 子に対する愛情の度合
  6. 従来の監護状況
  7. 実家の資産
  8. 親族の援助等

【子側の事情】

  1. 年齢
  2. 性別
  3. 心身の発育状況
  4. 環境への適応状況
  5. 環境の変化の適応性
  6. 子の意思
  7. 父母および親族との情緒的結びつき

その他、母性優先の基準、継続性の基準、子の意思尊重の基準、きょうだいの不分離の基準、面接交渉の許容、奪取の違法性などが判断の基準とされていますが、一律に決められるのではなく、あくまで総合的に判断されます。

(以上、「離婚調停・離婚訴訟」青林書院141頁より)

協議離婚や調停離婚においても、上記のような基準を考慮して、どのようにすれば最も子供のためになるのかを十分に話し合ってください。

(弁護士 井上元)