離婚の際に妻が夫から不動産を財産分与で取得しても、所得税はかかりません。一方、分与した側の夫に対しては所得が発生すれば譲渡税がかかります。
不動産を売買や贈与で取得すると不動産取得税がかかります。不動産取得税とはその不動産が所在する都道府県が課すものです。
財産分与で取得した場合、不動産取得税はかかるのでしょうか?
財産分与には、(1)清算的要素、(2)扶養的要素、(3)慰謝料的要素がありますが、財産分与は①の清算的要素が主たる要素です。
そして、財産分与の中身が(1)の清算的要素であれば、不動産取得税は課されず、(2)の扶養的要素や(3)の慰謝料的要素があれば、不動産取得税が課されるもののようです。
また、財産分与は婚姻期間中に夫婦が共同で形成した財産の清算ですから、例えば、夫が結婚前に取得した不動産を財産分与することはできません。したがって、このような不動産を財産分与として取得しても、不動産取得税が課されることになります。ただし、夫が結婚前から取得した不動産であっても結婚後にローンを返済したような場合には異なるかもしれません。
不動産を財産分与で取得される場合には事前に都道府県に問い合わせることをお勧めします。
(弁護士 井上元)