離婚事件を何件扱っていますか?

 最近、このサイトを見てお電話をいただいた方から、「この事務所では離婚事件を何件取り扱っていますか?」との問い合わせをいただいたとの報告を事務局から受けました。

 このような問合せは初めてでしたので、「どうしてなのかな?」と思っていたのですが、週刊ダイヤモンドの2013年9月28日版「離婚・再婚の損得」を読まれてのことだったのかもしれません。

 同誌では、「『離婚に強い』とウェブサイトなどでうたう法律事務所は多いが、『看板に偽りあり』というケースも少なくない」、「新司法試験導入による弁護士間の競争激化と、離婚件数の加速度的な伸びによる市場拡大が、事情を一変させた。ただ、離婚を積極的に取り扱うようになったはいいが、問題は能力や経験が伴わないケースも多い」との記事が掲載されています(同誌46頁)。

 なるほど、このような記事を読めば、「この事務所では離婚事件を何件取り扱っていますか?」と聞きたくなるというものです。

 他のサイトでは、相談事例、解決事例を多数掲げたり、相談件数を誇らしげに掲げたりしていますが、本サイトでは、相談事例をほとんど掲載していませんし、相談件数も掲げていません。閲覧される方への情報提供を怠っていると言えるかもしれませんが、最近解決したばかりの生々しい事例を掲げると、その案件のご本人が気分を害されることを慮ってのことでもあるわけです。

 さて、同誌では「後悔しない離婚弁護士選びの目安」が掲載されていますが、これに対する私の意見を述べてみましょう。

1 事務所の宣伝が派手過ぎない

 同感です。本サイトが派手過ぎるか否かは皆さんでご判断ください。

2 弁護士会が行う離婚相談に出ている

 私の知る限りでは、大阪弁護士会では、一般相談の中で離婚相談を取り扱っていますが、離婚相談を専門としては行っていないと思います。数年前から、相続、交通事故、労働、建築などの専門家研修を行い、所定の研修を受けた弁護士だけがこれらの分野での相談を担当できる制度を発足させていますが、ここには離婚は入っていないと記憶しています。ちなみに、離婚研修はあり、私はこれにはほぼ全て参加しています。

 したがって、大阪弁護士会に限っていいますと、「弁護士会が行う離婚相談に出ている」ということに意味はありません。

3 弁護士会の離婚研究会のメンバー

 これも、大阪弁護士会に限って言えば、私的なものは別として会としての離婚研究会はないと思います。

4 過去の実績を示すことができる

 これは判断の難しいところです。離婚の分野おいて、専門家が使用する専門書を著している方なら文句なしに実績ありということができるでしょうが、このような弁護士は極めて少数です。一般の素人の方を対象とする書籍を著している場合は、内容によりますが、全編を書くのは大変ですので、一人で書かれたのなら、相応の勉強はされていることでしょう。これに対し、取扱い件数は微妙なところです。確かに、取扱い件数が多ければ、多様な案件を取り扱った経験があり、その都度、いろいろな勉強をしていると思いますので、その分野に強いだろうという期待ができます。しかし、多人数の法律事務所では、事務所全体が取り扱った件数ではなく、担当する弁護士が取り扱った件数が重要なわけです。

5 若過ぎたり、逆に高齢過ぎたりしない

 これもおおむね同感です。ただし、若い弁護士がただちに駄目というわけではありません。離婚事件はやはり多少の人生経験がある弁護士のほうが望ましいとは思いますが、若い人の行動力が重要なこともあるからです。

6 居丈高な話し方をしない

 これも同感です。

7 弁護士費用の説明が詳細

 おおむね同感ですが、案件処理にあたってはいろいろ予想外のことが起こったりします。個別の案件で適正な費用を算定することは結構大変なこともあったりするわけです。

8 弁護士費用の計算方法がシンプル

 これもおおむね同感ですが、かならずしもシンプルにはいかないこともあります。

9 目的に応じた戦略を示す

 これも同感です。

10 性格面での相性が合う

 これについては全く同感です。離婚事件では最も重要だと思います。

(弁護士 井上元)